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大きな社会問題にならないのは、この2〜3割が頑張ってくれなかったら、残りの7〜8割はもっと悲惨な事態に直面していた可能性が高いからだ。 今後の日本が過去のアメリカと同じ道を歩く必要はないし、国民性の違いなどからまったく同じ道を歩くことは可能でも得策ではないだろう。
今の日本が後方から強大な競争相手に追い上げられている事実は避けて通れない。 この、これまで日本が明治維新以来一回も経験したことのない事態に対応するには、1970年代の欧米を研究することは決して無駄ではないと思われる。
欧米はこの問題を乗り切るのに20年以上かかったが、我々が彼らの経験を活かすことができれば、もう少し短い時間でこの問題を克服することができるかもしれない。 いずれにせよ、すでに国民の29・1%の人たちが悲鳴をあげているこの問題に正しいビジョンとそれを実現する手順を示すことは、もう待ったなしというところまで来ているのである。
このビジョンには当然、官と民の部分があるが、まず民間においては、すでに多くの学生が英語だけでなく中国語を学ぶなど、世界情勢の変化に敏感に反応している人が少なくない。 欧米でも、あえて子息を中国人学校に入れて「中国の時代」に備える人が増えている。
例えば、サンフランシスコのある「中国人学校」ではなんと学生の半分が中国製以外になっている。 また企業ベースではそのような人材の確保に加え、前例にとらわれず新しい商品やアイデアを出せる人たちをどう増やしていくかが大きな課題となろう。
圏内で難しいなら、海外に研究所をつくって、そこで現地の研究者に新しいものを考えてもらうという手法もあるだろう。 また一部の企業では、あえて外国人をトップに招き入れ、そこから過去のしがらみを崩していくという行動に出たところもある。
多くの企業はまだ80年代までの高度成長期の成功体験が忘れられず、改革に消極的な多い。 時代はすでに追いつけ追い越せからどうやって追い上げてくる相手を振り切るかに変わっており、この変化に対応できない組織は、近い将来、退職者の年金も今の従業員の給料も払えなくなる事態に直面しかねない。
1965年から75年の間にいかに多くの欧米企業が日本の台頭で廃業に追い込まれたかを見れば、日本でも10年後どのような分野が伸び、どのような分野が衰退していくかを、今からしっかり見極めておく必要があろう。 また、そのような視点から早めに手を打てば、衰退を回避できる産業も出てくるだろう。

それでは、今の日本の官はグローパリゼーションに対して正しいビジョンとそれを実現する手順を打ち出せるかだが、今の日本の政治は、前回の参議院選挙(O7年7月)で民主党が参議院の多数派となった結果、いわゆるかねじれ現象を起こして、いろいろな政策が動かなくなっている。 マスコミからはこの政治空白に関して「しっかりしろ」という声は出ているが、彼らからも問題解決の名案は出されておらず、単なるかけ声に終わっている。
この日本政治の勝着状態を深く掘り下げてみると、根底には2つの大きな力のぶつかり合いが見えてくるのである。 K首相は当初から「自民党は仲よしクラブ」ではなく有志連合でなければいけない」という非常に強い意志を持っていた。
自民党がこれまでのような仲よしクラブ的な組織だと、同じ党内で意見が右から左まであり、国が本当にある政策を推し進めなければいけない時に機動的な行動がとれない。 だから、K氏は同じ志と同じ問題認識を持った人たちが集まる有志連合でなければ真の意味での政党ではないと、考えたのである。
その目的を実現するために、K首相は何年も前からあらゆる手段を考え、それを冷酷なまでに実行した。 K氏は首相になった自民党総裁選(2001年)の時、まず自民党内で大きな影響力を持つS氏と手を結んだ。
K氏と政策協定を結んだことで多数派が形成され、K氏は一気に表舞台に上がって総裁に選出されたのである。 総理に就任するとすぐに、K首相はK氏を切り捨ててしまう。
次は、いわゆる長老連中を切った。 元首相のN氏やM氏を引退に追い込んだのである。
最後の仕上げが、20O5年の衆議院選挙であった。 あの時は、K首相が提出した郵政民営化法案を衆議院が可決、参議院が否決したわけであるが、K首相はなんと、郵政民営化を認めた衆議院を解散させてしまったのである。
参議院は解散できないから、そうせざるを得なかったのかもしれないが、まさに前代未聞の出来事だった。 それどころかK氏は衆議院の解散と同時に、民営化反対の衆議院議員を全員自民党から追い出し、Kチルドレンに置き換えるという荒業に出た。

自分と志を同じくしない、ということは有志ではない人たちを自民党から追い出し、有志と思われる新人を入れて、ある意味においてはK首相が理想とする自民党をつくりあげたのである。 郵政民営化に反対する議員を切り捨てて、しかも選挙には大勝するという離れ業で、まったく新しい自民党が出現した。
それはK氏の意のままに動く自民党であった。 O7年7月の参議院選挙における自民党の大敗や、いま我々が直面している政治のねじれ現象がなぜ起きているのかと言えば、実はこの郵政選挙に起因しているのである。
このことは、O5年7月とO7年7月の選挙を地方の自民党組織や有権者の立場から見てみることによって鮮明になる。 くれた尊敬すべき先生方(議員)が、ある日突然、自民党公認から外され、その代わりにホリエモンのようなKチルドレンたちが、中央から候補者として送り込まれてきた。
K首相が推薦する候補者をサポートせざるを得なかった。 自民党の地方組織の人たちにとっては、あの短い時間のなかでそれ以外の選択肢はなかったのである。
そこで、地方の自民党員たちは必死に選挙戦を戦って、とにかく85人のKチルドレンを当選させたのである。 一方、K首相に追い出された議員たちは国民新党などをつくって対抗したが、選挙準備に一週間程度しかなく、資金的にも組織的にもまったく準備ができていなかったからS氏のように当選できた人もいたが、大半は議席を失ってしまったのである。
では、地方組織が応援して当選させたKチルドレン85人のなかで何人が、地域の生活に関心を持ち、地域活性化に力を尽くしてくれたかと言えば、その数はかなり少なかっただろう。 もちろん、なかには、声援してくれた地域のために頑張っている議員もいるだろうが、以前の当地出身の議員たちに比べれば恐らく雲泥の差であったと思われる。
しかもK首相は、選挙後も財政再建を優先させたから、地方の公共事業などはどんどん切り捨てられた。 Kチルドレンを当選させた地方の人たちにしてみれば、「自分たちはいったい何をしたのだろうか」という割り切れない気持ちが残ったに違いない。

そうした欝屈した地方に手を差し伸べたのがOさん・民主党であり、それが前回の参議院選挙の大勝につながったわけであるが、まずは順を追って説明しよう。 K首相が仕掛けた郵政民営化選挙では、民主党も民に眠って大敗を喫した。
というのも、K政権誕生以来、K首相はずっと「改革」を唱え続けていたが、民主党はそれに対していたわけである。

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